平成17年5月6日に「有限責任事業組合契約に関する法律」が公布され、これにより日本版LLPが導入されることになりました。
日本版LLPの特徴は大きく分けて、出資者の有限責任・内部自治原則・構成員課税の3つになります。
記載順に特徴を述べていきますと、出資者である組合員は、以前から存在していた民法上の任意組合とは違い、LLPの債務について出資額の範囲内でし
か責任を負う必要がありません。また、組合員全員が事業に関与するため、株式会社のような取締役会などの経営者を監視する機関の設置が強制されず、運
営方法を自由に決めることができ、利益・損失の配分も出資額の比率に拘束されずに決定することができます。
この2つの特徴により事業体として使い勝手が非常に良くなるため、今まで実現できなかった新たな事業形態を創出することが可能となり、既に制度が導
入されている欧米では幅広く利用されています。
ここからは3つ目の特徴を中心に課税制度について述べたいと思います。
LLPは法人格がないため法人税が課されず、組合員の所得として課税されます。これが構成員課税(パススルー課税)です。従って、組合員には利益だ
けでなく損失もそのまま配分されることになります。
ただし、17年度の税制改正で組合税制が見直され、損失については一定の制限が課されました。組合員が出資した額を超える損失額は税務上の必要経費
及び損金の額に算入されませんので、超過部分については個人組合員については切り捨て、法人組合員については翌年以降に持ち越されることになります。
(措法67の13)
次に出資時の譲渡益課税についてです。LLPに出資する際には現金か土地等による現物出資しか認められておらず(LLP法11条)、現物出資する場
合に時価評価額が簿価価額を上回っていると出資者には譲渡益が発生することになります。現物出資をする場合はこの点に注意が必要です。
このように日本版LLPは税制面での規制はあるものの、上記の3つの特徴を併せ持つため、新規事業の立ち上げや資金はないがスキル等を持った個人・
中小企業などには適していると思われます。